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狙って撮る
 2021年2月21日
 私の高校の1年後輩で,写真を趣味にしている男がいる.先月,共通の友人が『今,彼が個展を開いてるんだってよ』とついでのように教えてくれた.さっそく土曜日の夕方,時間を作って見に行った.

 今から20年ほど前,温泉宿のホームページやパンフレットの作成の仕事をしているときに,彼に一度,撮影をお願いした.そのときに『暖炉の炎をモデルのほっぺたに反映させながら......』などとぶつぶついいながら,カメラやストロボの設定をしてシャッタを切っていた.今考えれば当たり前なのだが,写真は狙って撮る,ことを知った.また彼は,『風景写真はプロよりアマチュアなんですよ,なぜかって?プロはそうは現場に行けないでしょ,アマチュア写真家は毎日のように,しかも何年もそこに通い続けられるじゃないですか.決定的な瞬間にそこにいる確率は圧倒的に違いますよ』彼の言うことはいつも説得力がある.

 そんな彼の20年間撮りためた写真の個展である.私には師である彼の作品が見られるめったにないチャンスだ.沖縄で撮影した写真が並んでいた.腕っ節の太いマグロ漁船の船長,撮られる恥ずかしさと,何人も人を使っての責任ある仕事への自信とが表情やポーズにに交差している.彼だからこの表情を引き出せるんだろうな,この1枚を撮るまでに彼の得意な話術でずいぶんと時間をかけたんだろうなと想像できる1枚だった.

 打ち込んできた仕事への思いや自信,重ねてきた人生の苦労や喜び,誰もが持つそんな内面が表に出る一瞬を表現したくて私は写真を撮っている.彼はまだまだ私の先を行く師であった.

写真は『チビの子,たま』
2009年7月 自宅裏庭にて撮影


昔は物を思はざりけり

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