NYでの撮影が縁で,板倉氏(ジャズピアニスト)ロシアツアーに同行することとなった.毎年11月に行なわれるロシアでのジャズフェスティバル.2005年は第10回目だった.世界からミュージシャンを集め,ロシア各地を転々とまわる,ビッグツアー.コンサートが終わるとそのまま寝台列車に乗り1000kmも離れた次の街に移動.朝方ホテルに付き,午後はリハーサル,夜はコンサート,この繰り返しの日々だった.撮影が終わればデータのバックアップや機材の充電で次ぐ日の準備.思い返せば実に過密なスケジュール.
この絵は移動の合間に撮った貴重なロシアの風景.サンクトペテルブルグではエルミタージュまでバスで15分というホテルに泊まったが,観て来る間もなかった.まわった都市は,モスクワ,クルスク,ボロネシ,リペツク,モスクワ,サンクトペテルブルグ,トゥベリ,モスクワ,リャザニ,モスクワ.
クルスクの街は美人が多いので驚いた.すれ違うご婦人は皆,背がすらりと高く,均整のとれたスタイル.ロシア行くならクルスク.モスクワから約1,000km南にあります.男性諸氏!クルスクは要チェックですよ.
私の出会ったロシア人は,寡黙な人が多かった.ベーシストのニコライさん,黙々と食事をし,ぼそりと英語で話しかけてくれた.パーカッションのオレグさん.日本語は歌を聞いているような優しい響きがすると言ってくれた.やはり,会話はゆっくりだった.ピアニストでありこのジャズ祭りの総ディレクターであるレオニド・ヴィンスケヴィッチ.彼も静かに話す.静かな笑顔で皆話しかけてくれる.ただひとり底抜けの明るい笑顔で笑う人,それが盲目の歌手,セルゲイさん.声の質がスティービーワンダー.
ボルシチ,恐ろしいほど美しく,味も良し.私はセントペテルブルグのジャズクラブのレストランでいただいたが,こんなに美しいスープは初めてだった.
時が経つにつれてもう一度訪れてみたい気持ちが深くなる不思議な国だ.
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