チューリップの季節だった．いたるところに咲いていた．日本で普通に見かけるチューリップもあるが，先のとがった花びらのチューリップが多かった．国花だときいた．古くからこの花はタイルやお皿，陶器などにデザイン化されて使われている．

　トルコ人は親日の人が多いと聞いていたが，トラム（路面電車）でも，街を歩いていても笑顔ですぐに『コンニチハ，アリガトウ，ニホンジンデスカ？』と知ってる限りの日本語で話しかけてくる．流暢な日本語を話す人も何人もいた．日本語の上手な人の話の先は『見るだけ』といって決まってトルコ絨毯の売り込み．

　写真は，そんなトルコ人がすごくいい場所があると言うので，半信半疑で案内されたホテルの屋上にあるレストラン．小さなエレベーターで最上階（といっても6階だったかな）で降りて，狭い階段を上ると屋上に出る．雲１つない青空．4月末の乾いた光があふれていた．すぐそこにブルーモスク．120度くらい右に目をやるとアヤソフィア．そして圧巻は南側．ボスポラス海峡と対岸のアジアサイド．私はいっぺんでこの場所が気に入ってしまった．案内役のシンさんは『私のお店はすぐそこにあるから，時間があったら寄ってみて』と言い残して帰って行った．

　イスタンブールはアジアとヨーロッパの境にある都市．古くから貿易の拠点として栄えて来た．その境界がこのボスポラス海峡．幅はせいぜい2kmくらいだろうか．黒海と地中海をつないでいる．この狭い海峡を多くの船が行き交っている．そんな船を見つめながら飽きるとブルーモスクやアヤソフィア．眺めているうちに半日が過ぎてしまった．